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〈EXHIBITION〉

"場所|現われ / A Place | Appearance"

牧口英樹/Hideki Makiguchi

2023.08.26 Sat - 09.10 sun
(*金土日のみオープン/Open Fri-Sun)
at Vacant/Centre
事前予約制/By Reservation Only
入場無料/Admission Free


「存在」とは、視覚的にどのような質感なのだろうか。


札幌出身、現在東京を拠点に制作を行う牧口英樹は、2009年のとある日を境に、この世界に潜む数々の「場所」を撮り始めました。空間という存在そのものに焦点を当てたその写真には、被写体という形あるものを超えた何かの気配が、たしかに写っています。


そして作家の存在への探究は、眼前に浮かび上がる存在の「現われ」を日記のように描きとった、100点を超えるドローイングのシリーズへと派生していきます。あるときは棒のように直立し、またあるときは壁の凹みのように日々僅かに変化する存在の姿が、ポストカードサイズの紙に黒一色で繊細に描かれています。


本展では14年に及ぶ存在との対峙で生み出されてきた、これらの写真・ドローイング作品を併せて展示、また作家初となる写真作品集『場所 A Place』を刊行します。


牧口 英樹/Hideki Makiguchi

1985年 北海道、札幌生まれ。2009年、多摩美術大学卒業。2011年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻 修士課程修了。これまでの個展に、「Back is always the void」Vacant(東京、2010)、「ありふれた場所の、静かで限りなく無に近い、目に見えない何か」LIQUIDROOM(東京、2012)、グループ展に「はじまりのしじま」TSCA(東京、2015)、「Drawing: Manner」TSCA(東京、2019)など。

http://hidekimakiguchi.com



What is the visual texture of presence?


Hideki Makiguchi, born in Sapporo and currently based in Tokyo, began photographing the many 'places' that lurk in our world on a single day in 2009. Focusing on the very existence of space itself, his photographs clearly show signs of something that transcends the formality of the subject.


The artist's exploration of existence led to a series of more than 100 drawings, in which he depicted the 'appearances' of existence that emerged in front of his eyes, like a diary. Sometimes standing upright like a stick, sometimes like an indentation in a wall, the figures change slightly from day to day and are delicately drawn in black on postcard-sized paper.


The exhibition will include these photographs and drawings produced over 14 years of confrontation with existence, as well as the publication of the artist's first book of photographic works, A Place.


 
2023.08.25

展覧会"場所/現われ | A Place/Appearance"に際して、

写真研究者の村上由鶴さんによる、作家インタビュー記事を公開しました。


"場所/現われ | A Place/Appearance"展インタビュー
www.vacant.vc
"場所/現われ | A Place/Appearance"展インタビュー
牧口英樹 × 村上由鶴 被写体は真ん中に「ある」 ―牧口さんの写真を拝見して、アニメや映画の背景画のように、人やキャラクターが活動するための場や背景だけがあるという感じがしました。テキストでは、「存在」という言葉をよく使っていらっしゃいますが、「不在」と言ってもよいのではないかと感じました。 牧口:「不在」というのは、「そこにあるべきものがない」と感じることですよね。つまりそこに何かが「ある」と認識していなければ、「ない」とは感じないはずです。僕は「ある」を写真に撮っています。でもそれはどこにも写っていません。なので「そこにあるべきものがない」という印象を受けるのだと思います。「不在」という感覚は正しいと思います。 いま目の前にはコップがありますが、この「コップがある」という状態に対して、僕らはコップという記号を見ているだけです。「ある」の部分については実感していません。それは僕たちが日常の中で生きているからです。けれど、時々その日常が取り払われて、「存在」が向こうから来ると感じることがあります。いわば、「ある」だけを感じるんです。そのことについてテキストでは「現われ」と表現しています
 



 

〈写真集/Photobook〉




Title: 場所 A Place

Author: 牧口英樹/Hideki Makiguchi


Published Date: 2023.08.26

Price: ¥6,000+TAX

First edition published, 500 copies (初版500部)


BUY/購入する


Editing&Design: Yusuke Nagai (Vacant)
Printing: Hakkou Bijyutsu
254 x 201mm / 88 page / 44 photographs
Hardcover / PUR Binding
Published by Vacant
ISBN978-4-908177-03-3

 

写真が「真を写す」ものとして、その力を宿していた時代の遺物である〈心霊写真〉の、「見えないはずのものが写っている」という恐怖の眼差しに対して、彼の『場所』という写真作品群からは「何も写っていないこと」に、静かな戦慄を覚える。そこに「何か」が写っていると思わずにはいられないのだ。写真にある景色は至って静かなのに、その衝動は耳鳴りのように、どこからか鳴り響いて、この身体を震わせる。


この世は空っぽではない。有るという奇妙な性質で満たされている。その根本的な事実を、場所と向かい合うことで思い出すことができる。


牧口がこのように示唆する「有るという奇妙な性質」とは、おそらく彼の向き合ってきた「存在」の一端であり、僕に「何か」を予感させる源だ。写っているようで写っていない、写っていないようで写っている。曖昧な認識を行ったり来たりするしかない程に、彼が捉えようとしている「存在」は不確かに揺らぐ。写真の側に立ち、ゆっくりと眺めることで、うまくいけばステレオグラム画像に立体物が浮き上がってくるように、ふと何かに触れる瞬間が来るかもしれない。そんな淡い期待を、牧口の写真は用意してくれる。



ひとたび意識を少しでも逸らしてしまえば、途端に見えなくなってしまうような儚い存在に対して、牧口が長年に渡って集中力を途切らせることなく、ずっと目を凝らし続けてきたことに、僕は単純に感嘆する。だからこそ、彼のストイックな生き方そのもののような探究の成果を、「作品」として扱うことにも慎重にならざるを得ない。今回出版する写真集も、10年越しの構想を経てようやくつくることが出来た。彼が世界中で見出してきた数々の「場所」を収めた本書は、それぞれの人のなかにある、未知なる領域を浮かび上がらせる、テキストのない哲学書であり、正解のない問題集だ。展覧会のスタート直前に刷り上がってくるこの本を、ひとりでも多くの人に見てもらいたいと願っている。


Vacant/永井祐介

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