#Hideki Makiguchi
写真が「真を写す」ものとして、その力を宿していた時代の遺物である〈心霊写真〉の、「見えないはずのものが写っている」という恐怖の眼差しに対して、彼の『場所』という写真作品群からは「何も写っていないこと」に、静かな戦慄を覚える。そこに「何か」が写っていると思わずにはいられないのだ。写真にある景色は至って静かなのに、その衝動は耳鳴りのように、どこからか鳴り響いて、この身体を震わせる。