©  Mick Rock 1972, 2017

音楽史に燦然と輝くロックスター、デヴィッド・ボウイと

「70年代を写した男」と称されるミック・ロックの奇跡のコラボレーションが蘇る。

 

2016年に逝去するその半世紀のあいだ人々を魅了し、「20世紀で最も影響力のあるアーティスト」と言われる迄の目覚ましい活躍を誇ったデヴィッド・ボウイと、その姿をキャリアの初期から写真に収め、その他にもシド・バレット、ルー・リード、イギー・ポップなど1970年代を彩るミュージシャンを撮影したミック・ロック。このふたりが運命的な出会いを果たしたのは、ボウイの経歴のなかでも最重要期と呼ばれる、彼の別人格「Ziggy Stardust(ジギー・スターダスト)」の時。その舞台の表裏にロックは立ち会うこととなった。

ミックは僕が自分自身を見るのと同じ視線で僕を見てくれる」とボウイがかつて語ったように、ミック・ロックは時代の証言者としてだけではなく、アーティスト自身が創作するペルソナを理解し、カメラを通して彼らと対峙することでその存在を高める役割を担っていた。

 

本展覧会ではミック・ロックが捉えた様々な表情を見せるボウイの写真を中心に、彼が手掛けたボウイのミュージックビデオなど、同時代を過ごしたふたりの奇才が果たした奇跡のコラボレーションを総括する。

—ミック・ロック

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REPORT

 3月13日で終了した写真展「DAVID BOWIE BY MICK ROCK」。70年代から、シド・バレット、ルー・リード、イギー・ポップ、クイーン、セックス・ピストルズ、ラモーンズなど、さまざまなロック・レジェンドたちの写真を撮り続けたフォトグラファー、ミック・ロックは、とりわけ72年〜74年の、いわゆるグラム・ロック期のデヴィッド・ボウイに密着し、多数の印象的な作品を残したことで知られている。そのボウイ関連の写真から厳選された数十枚を展示したのが「DAVID BOWIE BY MICK ROCK」だったわけだが、その開催最終日に、ミックと、ドレスコーズのフロントマン志磨遼平の対談トークショーが、会場の東京・原宿のVACANTで行われた。


 立ち見も出る盛況となった当日、トレードマークだったマッシュルーム・カット風の長髪を切り、まるで『ステイション・トゥ・ステイション』やベルリン期のデヴィッド・ボウイを思わせるスタイリッシュな短髪になった志磨に呼び入れられ、ミックが登場。
 まずは志磨の自己紹介があり、15歳の時に雑誌で見たボウイとミック・ロンソンのステージ写真(仁王立ちでギターを弾くミックの足の間にボウイがひざまずいている。「DAVID BOWIE BY MICK ROCK」にも展示された)に衝撃を受け、グラム・ロックを知ったこと、それをきっかけにボウイやルー・リード、イギー・ポップの影響で毛皮のマリーズというバンドを組み、生きていく希望を得たことなどが語られる。いわばミック・ロックは自分にとって父であり、命の恩人のような存在なのだと志磨が言うと、ミックは「そこまで責任は持てないよ」と笑い、ボウイとは、時代の変革期にあった当時のカルチャーそのものだったと語る。「時代を象徴する存在でありながら時代を超越するものを当時から感じていたよ。ちょっと変わっていたけどね(笑)」と、ボウイが何の前触れもなくいきなり眉毛を剃り落としてきて周囲を驚かせたエピソードを話す。

 対談は志磨が前夜に考えてきたという質問をぶつけ、ミック・ロックがそれに答える形で進んだ。ミックはとにかく雄弁。質問に早口で答えながらも話題は激しく拡大し、いつのまにか全然違う話になることもしばしば。通訳が訳しやすいように言葉を短く簡潔にまとめるなんて配慮はまったくない。質問の途中で喋りはじめ、彼の言葉を通訳が訳している時もブツブツと喋り続け、通訳にたしなめられる場面も。思ったことを腹に溜め込むなんてことはできず、なんでもその場で吐き出してしまわないと気が済まない性格なのだろう。来年には70歳を迎えるミックの、そんな無邪気で憎めない振る舞いに会場は笑いが絶えず、来場者は語られる貴重なエピソードの数々を、耳を凝らし聞き入っている。

 ボウイが出てきたころ、社会はまだ保守的で、過激なこと、性的なことなどが隠されていた時代だった。ボウイやイギー、ルーらが果敢な実験精神でそうしたタブーを打ち破っていった。当時は情報の伝達速度が遅く、彼らの存在が知れ渡るまで時間がかかったし、次のレコード・ディールも保証されていなかった。でも彼らは信じることをやり続け、だんだん浸透していったのだ……といった話が、さまざまなエピソードを交え語られる。シーンの傍観者というより当事者として、彼らのすぐそばにいたからこそ撮れた写真の数々と、生々しい目撃・体験談が、どんどん語られていく。

 「僕はたまたまその時、その場にいただけだ。でも最高に面白くて刺激的な時代だった。彼によって<男らしい>という従来の価値観が変わったし、音楽だけでなくヴィジュアルや哲学、思想なども複合した多様で多彩な表現に大いに影響を受けた。仕事というよりも、好きで撮っていただけだよ」
 対談はあっという間に予定の1時間を過ぎ、いつのまにか最後の質問に。志磨が「魅力的な被写体の条件、つまりかっこいいロック・スターの条件とは?」と問うと、「匂いでわかるよね」とミックが答える。「オーラがあるんだよ。目に見えないメタフィジカルなエネルギーを発している。それはある種、形而上的なものであって、ボウイもルーもスピリチュアルな側面があったし、東洋的な精神性を求めていた。彼が日本に惹かれたのもそういう理由かもしれない」


 対談が終了し、自分をここまで連れてきてくれた恩人であるミックに改めて感謝の念を述べる志磨に対して、ミックは「君に少しでも影響を与えられたのなら光栄だよ。音楽の道に進んだことが良かったかどうかはわからないけどね(笑)」と最後は彼らしい茶目っ気のあるユーモアで締め、トークショーは終了した。

(文:小野島大/写真:石田昌隆)

 

SPECIAL EVENT

3/3(金)特別講座 "Voice of Bowie" ※終了致しました

日時:2017年3月3日(金)  開場 19:00/開演 19:30

会場:VACANT 2F

出演:山崎洋一郎(ロッキング・オン編集長)

チケット:1,000円 *バッジ付

ロッキング・オン社に30年以上在籍し、現在は「rockin'on」「ROCKIN'ON JAPAN」の総編集長である山崎洋一郎氏を迎え、自身が数多のミュージシャンのなかでも特に「思い入れが強い」というデヴィッド・ボウイについての話を伺います。

今回の講座では、華麗なる変容を続けたボウイの、変わらない魅力〜シンガーとして歌、そして声にフォーカスして、その歴史と魅力を紐解きます。ボウイを知らないあなたも、長年のファンの方も、この講座を聞けばデヴィッド・ボウイ、その人の魅力を存分に味わうことが出来るでしょう!

http://peatix.com/event/241390

PROFILE

<アクセス>

東京メトロ 千代田線・副都心線「明治神宮前駅」5番出口より徒歩5分

JR山手線「原宿駅」竹下口より徒歩10分

東京メトロ 千代田線・銀座線・半蔵門線 「表参道駅」A2出口より徒歩10分

主催 : Sony Music Entertainment (Japan) Inc.|企画・制作:VACANT

協力:G.H.MUMM、COEDO BREWERY、Who|機材協力:LSPX-P1/ソニー

印刷協力:ring link factory